藤原宮の大極殿南門跡(橿原市高殿町)で見つかった地鎮具とみられる最古の貨幣「富本(ふほん)銭」の一般公開が18日、同市木之本町の奈良文化財研究所・藤原宮跡資料室で始まった。同貨幣は、飛鳥池遺跡などでこれまで見つかったものとは字体が異なる新タイプだけに、歴史ファンらも興味津々の様子。一方、華々しい発見の裏側には、液体分析など綿密な調査もあった。
一般公開は午前9時から始まり、続々と訪れた歴史ファンらが、目当ての富本銭などをじっくりと見学。橿原市常盤町の表田治郎さん(68)は「字体の違いも見えた。新種の富本銭は藤原京遷都を祝って造られたのだろうか」と想像を膨らませていた。公開は土、日曜と祝日を除き4月18日まで行われる。
一方、今回の調査・分析ではさまざまな素材が担当者の興味を引いた。
「まさか酒でも入っていたら」。昨年11月の調査で、富本銭の入ったつぼを持ち上げると、ポチャンと水が揺れる音がした。担当者は液体に興味を抱いた。藤原宮の地鎮祭で使われたお神酒の可能性があったからだ。
今年2月、富本銭や水晶を取り出した後で液体も出すと、600CCが残っていた。財団法人・日本食品分析センター大阪支所(大阪府吹田市)に調査を依頼。結局は雨水と判明した。
一方、富本銭は発見当時、当時の造幣局があったとされる飛鳥池遺跡製とみられていたが、「9枚が固まった状態では詳細が分からない」と、手術用のメスや竹くしなどで1枚ずつ分離。すると新たな字体が浮き上がった。「富本銭は飛鳥池製と思っていたが。歴史は一筋縄ではいかない」。調査を担当した奈良文化財研究所の松村恵司・考古第1研究室長はしみじみと話した。
出典:MSN産経ニュース